サーモスタット。
車においては冷却系に使用されるパーツ。
主な役割としては、ラジエータに送るクーラントを制限しクーラントの温度によって開閉させることで暖機の効率化を図る為の物だ。
無くても実際のところ問題はない、冷えすぎるだけだ。
もちろん、冷えすぎることでエンジンの不調に繋がるから問題がないという訳ではないが。
サーキットユースにおいては、無い方がラジエータに送られる水量が増えるので効率化が図れる。
では街乗りではどうだろう?
街乗りではエンジン負荷が少なく、上がったところでノーマルでも95℃程度だ。
夏場でも冷却ファンが作動すれば問題なく安定するように設計されている。
よくショップなどにおいてあるローテンプサーモスタット。
低い温度から開閉する事で効率化を図るなどが謳い文句だ。
だが、中身を知るといかに意味のないパーツなのかが分かる。
まず街乗りでは上記の通りノーマルでは上がっても95度程度だ。
エンジンにもよるが、ロードスターの場合は全く許容内の温度である。
理想温度が85~95℃という点から考えても、メーカーの設計は偉大だと思うね。
これをローテンプサーモに変えると、走行時は75度で安定する。
アイドリング状態ではラジエータに風が当たらないので最大99℃まで上がるが、走り出せばあっという間だ。
ECUによって制御されているエンジンには補正がかかる。
水温が一定の温度まで達していない場合、きちんとエンジンが温まっていないと判断して自動で燃料の噴射量を上げるんだ。
こうすることでエンジンを早く温めようとする。
しかしサーモが低温域で全開になるローテンプでは思ったほどの温度上昇が得られない。
制御が切り替わり通常になる温度は、感覚的に大体83℃前後だ。
空気量に対して燃料が多いと、空燃比のバランスが崩れて燃費やパワーの低下が出てくる。
燃料はうまく燃えきらないからカスが出やすく、これによってオイルも汚れやすくなる。
いい事はひとつもない。
ではサーキットでは?
実際持っていくと水温計は97~99℃で安定する。
自分のロードスターは社外の高効率ラジエータに交換してあるので100℃を超えることは真夏でもない限りはそうそうない。
30分全開走行しても水温は100℃は超えない。
実はローテンプサーモに交換しても変わらないんだ。
低い温度から開くなら冷えそうな気がする。
しかし実際はNOだ。
サーモはローテンプだろうがノーマルだろうが冷え始める温度域が変わるだけで、冷えるかどうかはまるで変化が無い。
理由は開閉時の動作量だ。
ローテンプでもノーマルでも、サーモの開く度合いは全く変わらないんだ。
大きく開けばそれだけ流量が増えるから冷えるかもしれないが、基本的にほとんど変化は無いだろう。
であれば、サーモを取り払いバイパスラインをふさいでしまった方が冷えるんだ。
ただし街乗りでは水温が上がらないからサーキット限定の技になるが……。
しかもローテンプは上記の効果にも関わらず値段が高い。
純正は1800円程度で買えるにも関わらず、大体市販されているローテンプサーモは2500円前後の場合が多い。
コストを考えても、愛車の事を考えても。
大事な愛車なのだから安心して使えるノーマルサーモを選ぼう。
もしここを弄りたいなら、あえて電動ウォーターポンプを取り付ける事を推奨するね。
ただしまだ出始めたばかりだから、相当金がかかるだろうけど。